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CLAMPの名作「東京BABYLON」あらすじや魅力を紹介

東京BABYLON

CLAMPさんの作品「東京BABYLON」(東京バビロン)。

30年ほど前の作品ですが、美しいイラストや人々の関わりなどの魅力が満載で、改めて読み返してみても心が揺さぶられます。

2020年にはアニメ化の情報も出て話題になりました。
製作は中止となってしまいましたが、新たな制作体制で再出発されるようで発表が待ち遠しいです!

今回は「東京BABYLON」のあらすじや魅力について紹介していきます。
2022年にはコミックスが新装版で発売されているので、気になっている方はぜひ読んでみてください

「東京BABYLON」のあらすじ

「東京BABYLON」では、主人公の皇 昴流(すめらぎ すばる)が、陰陽師としてさまざまな問題を解決していく様子が描かれています。

「あなたは『東京』がきらいですか?」
で始まる最初のストーリーには「今も昔も一番こわいのは人間ですから」という星史郎(せいしろう)のセリフがあります。
日本で最も人口の多い東京では“こわいもの”もたくさん存在するということかもしれません。

そしてストーリー全体を通して描かれるのが、メインキャラクター3人の関係。
知り合って間もないはずの星史郎。実はずっと前に会ったことがありますが、それを昴流は覚えていません。


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時代背景

「東京BABYLON」が雑誌に連載されていたのは1990年~1993年

■1990年ってどんな年?
1990年はアニメ「ちびまる子ちゃん」の放送が開始されました。また、バブル景気(1991年崩壊)で、一般人の多くが好景気を実感している年だったようです。

スマホなどはなく、昴流はポケットベルやFAX、電話を用いて仕事をしています。

ちなみに、芸人の平野ノラさんが肩から下げていたショルダーフォンは1985年に発売されています。
主に車で使用されていたよう。

■1990年頃を象徴する「東京BABYLON」のエピソード
VOL.3 CALL.A
VOL.3 CALL.B では1990年頃ならではの物語が描かれています。

登場するのはダイヤルQ2

複数人で会話ができる“パーティーライン”で呪術を使うなど、システムを悪用した事件です。
中二病をかなりこじらせたようなキャラクターが登場。

電話と呪術という組み合わせが面白く、軽率に呪術を扱う怖さも感じられるエピソードでした。

ダイヤルQ2

1989年に始まったサービスで、「東京BABYLON」の連載中は利用者がピークに達していた頃のようです。
2014年、サービスは終了しています。

※「0990」で始まる番号に電話をかけることで情報を得るサービス。
電話代にプラスして情報料がかかり、高い請求額や情報の質が問題視されていた。

皇と桜塚護

昴流や北斗は陰陽師を束ねる皇一族

桜塚護も同じ陰陽師ですが表に出ず、陰から日本を支えてきました。
桜塚護は陰陽術を使い人を殺める暗殺集団で、皇でもその実態を掴んでいない。

昴流は星史郎を“術者”だと認識していますが、暗殺を稼業としているとは考えていないよう。
北斗は星史郎の暗い部分を感じ取っているものの、本気で桜塚護だとは思っていなかったのかもしれません。

登場人物

かわいい双子の昴流と北斗、星史郎がメインキャラクターです。

双子は高校生ですが学校に通っているシーンは描かれておらず、陰陽師としての仕事の様子がメインとなっています。

昴流は周囲に優しく、自分をないがしろにする傾向がある。

北斗はそれを補うかのように、弟のことや物事の本質などがよく見えていて、昴流をサポートしています。

星史郎が危険な人物であると察するが、昴流にとって大切な人物になることにも気がついていて、近づけてしまいます。


東京BABYLON―A save for Tokyo city story (1) (ウィングス文庫) (WINGS COMICS BUNKO)

★皇 昴流(すめらぎ すばる) 16歳

陰陽師(おんみょうじ)を束ねる皇一族の13代目当主
もって生まれた能力は歴代当主の中でも稀だと言われている。

とても優しくおっとりしていて、方向音痴な一面も。
北斗の双子の弟。

★皇 北斗(すめらぎ ほくと) 16歳

昴流の双子の姉
昴流と同じように陰陽術の修行を受けて育つが、能力はほとんどなく
簡単な術をいくつか使えるのみ。

しかし、北斗にしか使えない『術』がある。

★桜塚 星史郎(さくらづか せいしろう) 25歳

新宿で動物病院を経営している。

「桜塚護」でしょうと北斗に言われても肯定も否定もしない。
上手くはぐらかすが、昴流の前で軽い術を使うことも。

普段は“優しそう”ではあるものの、ミステリアスな存在。

「東京BABYLON」の魅力

「東京BABYLON」の魅力は切ない人間ドラマや、困難にどう向き合っていくかなどを気づかせてくれるところ。
語りきれないほどたくさんあるのですが、ファッションやキャラクター、オカルト好きにはたまらない要素について紹介します。


CLAMP PREMIUM COLLECTION 東京BABYLON (2) (単行本コミックス)

双子のファッション

北斗はいつも可愛らしいファッションに身を包んでいて、弟の昴流のコーディネートもしています。

30年前の作品とはいえ、とてもかわいくて。どうやったらそのセンスが身に付くのだろうかと惚れ惚れしてしまいます。

キャラクターのかわいらしさはもちろん、ファッションも見どころです。
昴流のファッションは男女問わず真似できそうなものもあり、とってもかわいい。
美しいイラストが並んでるだけで幸福感に満たされるくらい素敵だなと思っています。

魅力的なキャラクター

★昴流のやさしさ
「東京BABYLON」には、深く傷つき、苦しむ人たちがたくさん登場します。
彼のやさしさに触れることで、前向きに頑張るための力をもらうのですが、見ている私も心が温かくなるのを感じます。

★北斗の太陽のような明るさ
天真爛漫という言葉がぴったりの見ているだけで気持ちが明るくなるキャラクターです。
友達になりたいし、お店でも経営しているなら通いたいくらい。

★星史郎のミステリアスさ
CLAMP作品のなかでも一番好きなキャラクターかもしれません。
普段の優しそうな雰囲気が素敵なのですが、別の一面があり、それがとてもミステリアス。
大人の魅力があふれています。


CLAMP PREMIUM COLLECTION 東京BABYLON (4) (単行本コミックス)

オカルト要素

「東京BABYLON」はオカルト的な要素も多いですが、ホラーとはまた違います。

同じCLAMP作品の「xxxHOLiC」は怖くてゾクッとするお話も多いですが、「東京BABYLON」は人間ドラマが多く描かれている印象。

「呪術」をあつかうマンガという点で共通点のある「呪術廻戦」だと、伏黒恵の母校が登場する、八十八橋のお話のようなストーリー展開に近いかもしれません。

「東京BABYLON」を読むには

「東京BABYLON」はコミックス、電子書籍どちらでも読むことができます。

全7巻の作品ですが、文庫化されたものや愛蔵版が登場。

2022年には新装版となって発売されました。表紙イラストは新たに描き下ろしされています。

コミックス(紙)

コミックスは1991年から1994年に全7巻が発売されています。

その後、文庫版(全5巻)、愛蔵版(全3巻)が登場。
それぞれ表紙イラストやサイズが違います。

連載当時に発行されたコミックスや文庫版、愛蔵版は新品で手に入れるのが難しそうなので

これからコミックスの購入を考えるなら2022年に発売された新装版がおすすめです。

★新装版「東京BABYLON」

新装版の「東京BABYLON」は全7巻。

2022年6月から9月にかけて発売されました。

サイズは同じCLAMP作品「xxxHOLiC」と同じB6サイズとなっています。

■新品を手に入れるのは難しそうな最初のコミックス


東京BABYLON 全7巻完結セット

七瀬は文庫版を所有しています。
コンパクトで可愛い。


東京BABYLON 全5巻完結 (文庫版) (ウィングス文庫)

電子書籍

電子書籍は愛蔵版がRenta!やkindleで読めます。

物語は「X」へつづく

「東京BABYLON」のメインキャラクターのその後については「X」で読むことができます。

世界の終末をめぐる戦いが描かれている作品で、18巻まで発売されており、未完です。

私は「東京BABYLON」よりも先に読んだのが「X」でした。
昴流と星史郎の関係が気になり手に取ったのがきっかけです。

X(1)

X(1)

「東京BABYLON」のクライマックスの展開にはショックを受ける人が多いかもしれません。
「X」から入った私は地獄展開からさかのぼった形で、ある程度展開が予想できていたものの、やっぱり悲しかった。

さいごに

大好きな「東京BABYLON」(東京バビロン)を改めて読み返して、この作品から受けた影響が大きかったことを思い出します。

マンガに描かれた場所へ行き、同じアングルで写真を撮って大喜びしていました。

そして東京に行くと必ず、東京タワーが見えるところまで行ってしまいます。
京都へはじめて行った時は晴明神社へ・・・。

はじめて「東京BABYLON」を読んだ頃(2000年頃)と、違う視点で作品を見ている自分がいて、それに少しだけ驚きました。

VOL.6 OLD
このお話は『老い』がテーマになっています。
メインキャラクターは娘夫婦と一緒に暮らすおじいさんです。このお話も切なくて悲しいストーリー。

おそらく昴流の目線でだけ読んでいたように思いますが、当時と現在で見方が変わったのが、30代の娘さんの苦しみを多少は理解できるようになったことでしょうか。
当時はなんてひどい娘なんだろうとしか考えていなかったのではないかと思います。

この先、未来でまた読み返したとき、またもっと違う発見があるのかもしれません。

まだ読んだことがない人にも、しばらく読んでいない人にもぜひ読んでみてほしい作品です。

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